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所長

3 ストレリチア科の誕生

更新日:11月13日

◯ストレリチア科は新知識

 植物の分類は、古代ギリシャの昔より様々に変遷してきたが、今後も、また変わって行くことだろう。何しろ自然が目的もなく進化してきたものを、人間が、その浅知恵で仕分けて、分類するのだから、どうしても、どこかで辻褄が合わなくなってしまうのだ。つまり、「あちらを立てれば、こちらが立たず」で簡単には整理がつかないのである。  100年余りも続いたエングラーの分類では、ストレリチアはバショウ科に入れられていた。しかし、これには大きな無理があった。葉姿は似ているものの、違いも多く、花に至っては全然似ていないのである。そこで20年以上も前から、ストレリチア は独立した「ストレリチア科」であるべきと、クロンキスト(1988年)による分類で、ストレリチアは、晴れて「科」となった。これは歓迎すべき事柄であるといえよう。

「科」から「種」の段階に下っても変化が起きた。ストレリチアの無茎種は、その昔、「レギネー」、「パーヴィフォリア」、「ジャンセア」と3種に分けられていた、それが、南アフリカのファン・ダ・フェンター氏の提唱で、「パーヴィフォリア」は中間種であるから、独立した種ではないとされて消え、「レギネー」と「ジャンセア」の2種だけとなった。確かに、この両者を交配すると、中間の葉の形、つまり、「パーヴィフォリア」が生まれてくるから、これは妥当と言える。

しかし、学術上はそれでよいとしても、実際に取り扱う園芸上では、困った問題が生じてしまう。無茎種の葉の形は、幅の広いものから、小葉、無葉に至るまで途切れなく連続して変異があるから、境目をどこで線を引けばよいのか困ってしまうのである。

そこで、当園では、園芸として便宜上の手段で、この数の多い中間種を「パーヴィフォリア」として復活させている。但し、これはあくまでも植物学としてではなく、園芸上の便法としてである。

 ◯ジャンセア  

      無葉系(リーフレス)葉幅  5mm以下

      小葉系       〃   10mm以下

      パーヴィフォリア  〃   10mm〜50mm

 ◯レギーネ          〃   50mm以上

※葉の幅だけで分けているが、幅だけでなく形も大いに関係してくる。また、境目にあるものは、どちらに入れるか、微妙に難しく不完全極まるので難しい問題である。


◯ジャンセアの名称

 植物の名前は、「万国命名規約」によって、ラテン語(古代ギリシャも可)で表記すべし、もし、その名がラテン語に無い場合には、「ラテン語風」にすればよい、となっている。「ジャンセア」とは、日本語で言えば「トクサのような」という意味である。葉のない姿からの連想である。我が国では「ユンケア」などと、さも、ラテン語風に発音する人がいないわけではないが、当園では、英語風の発音の「ジャンセア」を採用している。世界的には、このほうが一般的だからである。「万国命名規約」では、ラテン語で表記とあっても、それは記載方法であって、読み方の指示はない。だから、そこのお国風であれば何でも差し支えないといえよう。

《ジャンセア自生地の夜明け》
《ジャンセア自生地の夜明け》















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